2月に2度にわたる豪雪に見舞われ、陸の孤島と化した長野県にも春を謳歌する花の季節がやってきました。

真っ先に春を感じさせるのは、山間地の日だまりに顔をのぞかせる小さなフキノトウでしょうか。冬眠から覚めた熊は最初にフキノトウを食べるといわれます。私はもちろん見たことがありませんが、こんな柔らかくて甘苦い大人の味はきっと熊の好みに違いありません。

少し濃いめのピンクのコヒガンザクラに覆われる高遠城址や上田城址の桜が絵になることは言うまでもありませんが、樹齢200年を超す20本のシダレザクラがある高山村は最近「しだれ桜の里」としてマニアの脚光を浴びています。映画「北の零年」のロケ地になった水中のシダレザクラは特に見事で、ぜひ訪れたい北信の桜の名所です。

桜も良いけれど、珍しい花と言えば白馬五竜に咲くザゼンソウや春の妖精カタクリでしょう。僧侶が座禅を組む姿に似て命名された小豆色の珍しいザゼンソウの花が推定45万株咲く日本一の群生地です。 小さな薄紫色のカタクリの花が華麗に咲く姿も白馬の春を代表する風景です。カタクリは白馬村の村花で4月下旬には白馬五竜が多くの来園者を迎えて開催されるカタクリ祭りでにぎわいます。

 

南信州の代表は4月下旬から5月上旬に阿智村の昼神温泉から月川温泉にかけて咲く花桃です。1本の木に大きな八重の花が赤・白・ピンクと3色に咲き分ける姿が魅力的です。桃やアンズと比べると一層華やかさが増して桃源郷さながらの美観を堪能いただけます。 また全国第2位のリンゴ生産地ならではの長野県では5月初旬、飯綱町では北信五岳を背景に、安曇野市三郷・堀金地区では残雪の北アルプスを背景にかれんなリンゴの白い花が咲き誇ります。

そのほか飯山の菜の花、中央アルプス伊那の梅園、千曲市森のアンズ、鬼無里の奥裾花自然園のミズバショウなど信州の春を謳歌する花の名所が数多くあります。さわやかな春の風に誘われながら、皆さんにぜひお訪ねいただきたいものです。

(信毎観光・岩﨑象二郎)

 

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