kaigo1710

88歳のN子さんは夫、長男家族との5人暮らし。今まで大きな病気もなく過ごしていた。
今年5月、家族と親戚で近くの温泉へ一泊旅行に出掛けた。久しぶりにみんなの顔を見てうれしくなり、つい寝不足と暴食をしてしまった。
帰宅後、多少胃の調子が悪いと感じていたが、翌日から下痢が止まらず緊急入院。治療を受け徐々に回復し、5日程度で退院。元々やせていたが、1㌔ほど体重が落ちてしまった。

翌6月、今度はN子さんの誕生日を祝うパーティーが自宅近くで行われたが、この時も多少暴食してしまった。
その後、風邪の症状が出たため受診し、内服薬を処方された。ところが、それを飲み始めると次第に元気がなくなり、夕方、発熱とともに手の震えが出てきた。
翌日の受診を決め、早く床に入ったN子さんだったが、夜になっていきなり奇声を発し、「おじいちゃん、おじいちゃん、お化け! 助けて」
同室に寝ていたN子さんの夫が驚き、電気をつけると「おじいちゃんの周りにお化けがいる」と騒ぎ始めた。
さらに「泥棒が来た」など一晩中騒いだ上に、たんすを開けたり閉めたりなど家中を動き回り、朝には夫も疲弊困ぱいするとともに恐怖すら感じた。

翌朝、長男がその出来事を聞き、N子さんを病院に連れて行った。
普段の生活の様子なども聞いた医師は、今回の原因は薬の副作用による幻覚症状と推測。暑さと不規則な生活で体調を崩した結果、普段は出ない薬の副作用が出てしまったのだろうと伝えた。
医師の指示に従い薬をやめたN子さんはその後、症状が治まった。
N子さんはそれまで、薬による副作用などは経験したことがないという。

高齢になると脳の細胞が脆弱(ぜいじゃく)化し、少しの疲労や発熱など通常と違う刺激で、異常を起こしてしまうことがある。また、暑さに気付かず脱水症を引き起こしたり、時には幻覚が現れたりと重篤な事態になることもある。
規則正しい生活で体調を整えるとともに、万が一の時は早めの対応を心掛けたい。

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