特集

北アルプス国際芸術祭2020-2021

2017年に大町市で初開催された「北アルプス国際芸術祭」は、延べ43万人を集め大盛況の中で閉幕した。コロナ禍による1年延期を経て、やっと開催される第2回の芸術祭について実行委員会事務局の高橋勇太さんに聞いた。

高橋勇太さん
目「信濃大町実景舎」
―芸術祭を始めたきっかけ

始まりは「アートで大町市を盛り上げることができないか」という地元住民からの発案でした。そこで現・芸術祭総合ディレクターの北川フラムさんを講師に招いて勉強会を開き、14年に「信濃大町2014―食とアートの回廊―」を市民主導で開催し、好評を得ました。芸術祭は、「芸術文化の創造性を生かし地域資源と結び付けることで、まちの潜在的な魅力を引き出し、市民が協働で個性的なまちづくりを進める取り組みの一環」と位置づけし、会場を大町市全域に広げるなど規模を拡大。県知事や大町市長が実行委員会に入り、官民一体となって、17年に第1回北アルプス国際芸術祭を開催する運びになりました。

―第1回の反応、感想

来場した多くの方(特に県外)が、大町の自然の雄大さと豊かさ、水と空気のおいしさに驚いていました。私たちが当たり前だと思っていたものが、都会の方にはとても貴重なものだということを改めて感じました。また広域での開催だったので、地元市民の方も「こんな場所知らなかった」と新たな発見をされた方が多かったようです。このように多くの方へ大町の魅力を発信できたことが何よりの収穫で、実際にこの芸術祭をきっかけに移住してきてくれた方もいました。
ちなみに県内では松本市民の方の来場がかなり多く、さすが芸術に理解がある街だと思いました。今回からビジュアル・ディレクターを務める皆川明さんは、自分のお店「ミナペルホネン」を六九通りに出店しているほど松本が大好きな方です。だから松本の方にはこの芸術祭をぜひ身近に感じてほしいです。

淺井裕介「土の泉」
松本秋則「アキノリウムinOMACHI」
原倫太郎原游「ウォーターランド-小さな大町」
フェリーチェ・ヴァリーニ「集落のための楕円」(2017年)
―今回の芸術祭について

前回とほぼ同規模の、11の国と地域から参加する38組の作家による39点の作品をご覧いただけます。もちろん感染症対策は徹底的にしているので、皆さん安心してご来場ください。多くの作品をじっくりと見ていただくためにパスポート制になっているので、気が向いたときにフラッとお立ち寄りください。これは近くに住んでいる方だからこその特権です! また何を見ればいいのかと迷っている方のために、ガイド付きの専用バスで巡るオフィシャルツアーも用意しましたので、ぜひご活用ください。
前回との大きな違いに、開催季節が夏から秋に変わったということがあります。豊富な秋の味覚に紅葉の絶景など、前回とは異なる大町の魅力に出合うことがきっとできるはずです。

―最後に

「芸術は難しい」と感じている方は多いと思いますが、芸術作品の見方や感じ方は自由で、人それぞれです。だから作品には先入観が入り込まないように、細かい解説などはありません。作品、場所、空間、時間…すべてを加味しながら、五感をフルに使って「芸術」を体験してください。さまざまなジャンルの作品があるので、きっとお気に入りを見つけることができると思います。
また小さなお子さまと一緒にのびのびと作品を見ることができるのも、この芸術祭の大きな特徴です。ぜひ親子で訪れて、お子さまとの感覚の違いを楽しんでください。純水無垢な子どもの感性にきっと驚きますよ。また写真撮影も自由にできるので、いろいろな側面から作品を見て、ぜひ自分だけの一枚にチャレンジしてください。芸術の素晴らしさや楽しさに触れながら、秋の大町をじっくりとご堪能ください

ジミー・リャオ「私は大町で一冊の本に出逢った」
ポウラ・ニチョ・クメズ「自然の美しさと調和」
ジェームズ・タップスコット「Arc ZERO」(2017年)
ケイトリン・RC・ブラウン&ウェイン・ギャレット「ベールの向こうに」(2017年)
ニコライ・ポリスキー「バンブーウェーブ」(2017年)
アルフレド$イザベル・アキリザン「ウォーターフィールド(存在と不在)」(2017年)
五十嵐靖晃「雲結い」(2017年)

名誉実行委員長: 阿部守一(長野県知事)
実行委員長: 牛越徹(大町市長)
総合ディレクター: 北川フラム
ビジュアル・ディレクター: 皆川明