紅葉に浮かぶ2階建ゴンドラ
紅葉に浮かぶ2階建ゴンドラ

  信州と飛騨を結ぶ安房峠道路(安房トンネル)の通行車両数が9月末、2000万台を突破した。観光シーズンには所要5時間と常に大渋滞し、しかも冬期は通行止めとなり問題視されていた安房峠越えの解消策として、長い調査期間を経て、着工から18年後の平成9年12月に開通した安房峠道路。
水蒸気爆発など、焼岳火山群内部を貫く難工事を乗り越え、今では4・4㌔のトンネル区間を含め5・6㌔をわずか5分で通行でき飛躍的に便利となった。
  松本から国道158号を西へ進み、上高地釜トンネルへの分岐を左折し高山方面へ。
安房トンネルを抜ければ奥飛騨温泉郷の平湯へ出る。奥飛騨温泉郷は別府、湯布院、草津、伊東に次いで全国5位の豊富な湯量と透明でくせのない単純泉や炭酸水素塩泉が主体で、一部には硫黄の香りがしたり、褐色や白濁する源泉を持ち、野趣あふれる露天風呂が多いことで全国的にも人気が高い。

  平湯温泉のほかに福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉と5つの温泉が連なり、最奥部の新穂高温泉からは日本唯一の2階建てゴンドラなどを乗り継いで、標高2156㍍の西穂高口駅展望台へ至る。気軽に穂高連峰から槍ケ岳をはじめとする北アルプスの絶景を楽しめたり、西穂山荘から独標、山頂までの登山ルートとして利用される。
気まぐれな山の天気ゆえに、濃霧で一面乳白色の霧に包まれ全く見渡せない場合も覚悟して進んだ展望台から、眼前に槍・穂高連峰の連なりが望めた時は、言葉が出ないほどの感動が押し寄せる。長野県民は上高地側から槍・穂高連峰を見る機会が多く、ちょうど真後ろの岐阜県側から望む風景になじみが薄いものの、また新たな発見や感動が期待できる。

しらかば平駅からの槍・穂高連峰遠望
しらかば平駅からの槍・穂高連峰遠望

西には遠く白山など北陸地方の山々も望むことができ、誰もが雄大な山並みを背景に写真撮影に興じ、その後は周囲の遊歩道を散策したり、第2ロープウェイを下り、しらかば平駅周辺のビジターセンターや鍋平高原の山野草ガーデンなど気軽に散策を楽しめる。

西穂山荘を望む
西穂山荘を望む

  下山後は飛騨牛の焼き肉など名物料理に舌鼓を打ったり、美肌の湯として評判の源泉掛け流し温泉に身体を浸せば旅の疲れが吹き飛んで極楽気分間違いなし。
  10月中旬の紅葉の絶景を楽しむ季節から山頂が雪に覆われてきらめく美しい季節も必見だ。
 (信毎観光・岩崎象二郎)

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