昨今、中高年ばかりでなく、〝山ガール〟と呼ばれる若い女性たちがファッショナブルに決めて登山を楽しんでいます。そこで、登山歴13年。山をこよなく愛し、松本における、〝元祖・山ガール〟ともいえるラジオパーナリティーの山本広子さんに、山の魅力を語ってもらいました。
「登山は人生そのものなんだって思うんです」
〝山(本)ガール〟広子が山登りを始めたきっかけは何だったのでしょう。
「中学校での登山はとにかく苦しくて、つらかったですね。でもその時思ったことが、『山登りはまさに人生だな』ということでした」。そして頂上に立ったときの爽快感。当時、東京に暮らしていた広子さんは、山に登るために長野と東京を往復するようになったといいます。
「信州の人って、山が近くにありすぎて登らないのかもしれませんね」
SBCラジオのパーソナリティーを務める広子さん。夏山のシーズンになると、「山からの中継は山本広子」がすっかり定着。今年も元気な声をラジオから聴かせてくれます。
山の中継などを通して伝えたいのは、「信州の財産である山の魅力を信州の人たちに知ってもらいたい」ということ。
広子さんの中継を聴くリスナーの中には「若いころは登っていたけれど最近は登れなくなったので懐かしい」という人や、「登山はしないけれど、中継を聴いて自分もその場にいるようで楽しみ」というファンも多い。
「山が華やかになっていいと思いますよ」
カラフルなタイツの上にスカートをはいた山ガールたちのファッション。昔の山では考えられなかったスタイルです。「ちゃんと心得てますよ。例えば、涸沢とかスカートが似合う場所にいます。岩場にはいませんからね」(なるほど)。
もちろん、〝山スカ〟も「かわいい」というだけではなく、ちゃんと機能性も備
えています。「安全性、機能性もとても大切ですから、山のグッズはきちんとアドバイスをしてくれる人がいる専門店で選ぶことをおすすめします」と先輩山ガールからアドバイス♪
「山でのマナーはとても大切。ビギナーの方はベテランと一緒に行くことをおすすめします」
北アルプスは8割方、登ったという広子さん。ほかにも屋久島やスイスなど国内外の山を経験しています。
「初心者の方はまずは山のベテランと一緒に登り、マナーやテクニックなどをぜひ覚えてください」。例えば、登る人と下る人がすれ違う時。山は登り優先と言われていますが、臨機応変さも必要。注意したいのは、山側と谷側があるとき、よけるために谷に向いて立つと、ザックがぶつかって転落・・・ということもありえます。そこでよける時は必ず「山側に立ち、登山道を向いて立ちましょう」。
では山小屋に泊まるときは―。
「山小屋はあくまでも、避難小屋。下界のホテルと同じような感覚では困ります。混んでいるときは狭い部屋に大勢入れられるので、互いに譲り合うことが大切です」。ただ最近の特に北アルプスの山小屋は設備もかなりよくなっています。トイレなどもあまり心配しなくても大丈夫。
いざ、山へ!
初心者にもおすすめの山
①蝶ケ岳
登山道が比較的緩やか。道も整備されているので登りやすい。さらに頂上に立ったときの景観は最高。目の前に穂高連峰の山々が広がる。
②涸沢
穂高連峰を眼前にしながら、初心者でも登山の気分が味わえる。まずは涸沢に行ってみて、登山を始めるかどうか決めてもいい。
③常念
松本平のシンボル的な山にはぜひ登ってみよう。見ているのと違った感動が味わえるはず。
食料はどうする?
おにぎり、パン、大福・・・etc、自分に合ったものがあるといいます。そこで「一緒に行った人たちの食料を参考に、自分に合ったものを探してみてください」。山ではお昼の時間だからお弁当を広げましょう、ということはなく、行動食が基本。歩きながら1時間に1回ずつ、少しずつ食べるという感じです。
水分は必ず必要です。水よりもスポーツドリンク系がおすすめ。それとは別に真水を持っていると、ケガをしたときに洗浄する、コンタクトを洗うなどにも使えて重宝です。またクエン酸(梅干しなど)は、足がつるのを予防するのにいいと聞きました。
豆知識
いまではすっかり定着した感のある“山ガール”という言葉。言い始めたのは、登山家の田部井淳子さん、らしい。独身女性たちに山の魅力を知ってもらい、山へ登ろうと呼びかける中で、“山ガール”という言葉を使ったようです。