世界18カ国約60人の剛柔流の師範が松本に集い、「IKGA(国際空手剛柔会)マスターセミナー2014」が2014年9月、松本市内で開かれました。
空手道には4大流派(4大伝統空手)と呼ばれる流派があり、剛柔流はその一つ(他は松涛館、糸東、和道)。60カ国以上に支部を持っています。
今回は、全日本空手道剛柔会会長の山口剛史(ごうし)最高師範(72、東京都)に空手道について話を聞きました。
剛柔流空手道とは―
沖縄の空手道で中国南派少林拳の流れをくむ那覇手の代表的な流派が剛柔会。1930(昭和5)年、流祖・宮城長順により「剛柔流」と命名された。流祖は空手道の本質を「空手道は心身を練り、健康をはかり、急に際して身を護る道である」と定義づけている。
今回のセミナーは、私の父で、当会会粗の山口剛玄の没後25年顕彰を目的に開きました。
松本で開いたのは、会祖と毎年冬に御嶽山にこもって修練を積み、長野県には深い思い入れがあったからです。
会粗との修業は、背負子(しょいこ)で年配の方などをおぶって山道を往復するなど、かなりきついものでした。
「空手と空手道は異なるものか」とよく聞かれますが、違います。
空手は技術そのものであり、それを修業することで礼儀や作法といった心の部分を向上させ、人の生きていく「道」を学ぶものが空手道です。
また最近は護身術としても人気がありますが、護身術とは敵の攻撃からわが身を守るためだけではなく、けがや病気のような自分との闘いにおいても負けないようにするための術でもあるのです。
模範通りに動くことで、学ぶ力と繰り返し鍛錬する忍耐力を養う「型」。そして他者に対応するため、基本を応用していく思考能力を養う「組手」。どちらも子供たちには持ち得てほしい要素を含んでいます。
空手道は老若男女ができる生涯スポーツで、海外でも人気があります。それは他人と比べるのではなく、自分との闘いに重きを置く、武道精神に強い尊敬と憧れが持たれているからです。
海外にも誇れるこの空手道を東京オリンピックの舞台で見ることができたら、日本の素晴らしさを、あらためて世界へ発信できるでしょう。
御嶽山の噴火災害に際し、犠牲になった方々のご冥福をお祈り申し上げます。
みなさんにぜひ知ってほしい言葉!
「人に打たれず、人打たず、事なきをもととするなり」
流祖・宮城長順先生の遺訓
これはまずは何事も起きないようにすることが一番大事であり、もし何か起きたら逃げるのではなく、何事もなかったかのようにスムーズに対処できることが大切だということ。